結腸直腸がんと遺伝子
結腸直腸がんは、世界で最も一般的な癌の一つです。遺伝的要因が重要な役割を果たし、特にミスマッチ修復遺伝子の変異が重要なリスク因子となります。
ミスマッチ修復遺伝子は、DNAの複製過程で生じるエラーを修復する役割を担っています。主なミスマッチ修復遺伝子には、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2などがあり、これらの遺伝子の変異は、DNA修復能力を低下させ、細胞の異常増殖を引き起こす可能性があります。
結腸直腸がんと関連する主なミスマッチ修復遺伝子変異は以下の通りです。
- MLH1:遺伝性非ポリポーシス性大腸癌(HNPCC)の最も一般的な原因遺伝子。
- MSH2:HNPCCの約50%で変異が見られる。
- MSH6:HNPCCの約10%で変異が見られる。
- PMS2:HNPCCの約5%で変異が見られる。
これらの遺伝子変異は、家族性大腸腺腫症 (FAP) やリンチ症候群などの遺伝性疾患と関連している場合もあります。
ミスマッチ修復遺伝子変異と結腸直腸がんのリスク
- MLH1/MSH2 変異: 変異保有者の結腸直腸がん発症リスクは、一般人よりも40~80倍高い。
- MSH6 変異: 変異保有者の結腸直腸がん発症リスクは、一般人よりも10~20倍高い。
- PMS2 変異: 変異保有者の結腸直腸がん発症リスクは、一般人よりも5~10倍高い。
検査と予防
家族歴や症状などから、ミスマッチ修復遺伝子変異の可能性がある場合は、遺伝子検査を受けることができます。検査の結果、変異が確認された場合は、定期的な検査や予防措置を受けることで、結腸直腸がんの発症リスクを軽減することができます。
予防措置には、以下のようなものがあります。
- 定期的な大腸カメラ検査
- 内視鏡的ポリープ切除
- 食事療法
- 運動療法
- 薬物療法
まとめ
結腸直腸がんは、遺伝的要因が重要な役割を果たします。ミスマッチ修復遺伝子変異は、結腸直腸がん発症リスクを大きく高める可能性があります。家族歴や症状などから、変異の可能性がある場合は、遺伝子検査を受けることを検討しましょう。検査の結果、変異が確認された場合は、適切な予防措置を受けることで、発症リスクを軽減することができます。
参考資料
- 国立がん研究センター がん情報サービス:https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/index.html
- 独立行政法人 環境再生保全機構:https://medical.jiji.com/topics/1605
- 独立行政法人 国立長寿医療研究センター:https://www.lecturio.de/artikel/medizin/lynch-syndrom//1000