QT延長症候群について
QT延長症候群は、心臓の電気信号伝達に異常をきたす疾患です。心臓の筋肉自体は正常に機能しているにもかかわらず、電気信号の異常によって心拍リズムが乱れる可能性があります。
原因
QT延長症候群は、主に以下の2つの原因によって発症します。
1. 遺伝性
約70~80%の患者は、遺伝子異常によって発症します。家族内にQT延長症候群患者がいる場合は、発症リスクが高くなります。
2. 後天性
薬剤の副作用、電解質異常、甲状腺機能亢進症などの病気が原因で発症する場合があります。
症状
QT延長症候群は、無症状で経過することもありますが、以下のような症状が現れることもあります。
- 動悸
- めまい
- 失神
- 心停止
特に、**Torsade de Pointes(TdP)**と呼ばれる心室頻拍は、突然死のリスクを高めるため注意が必要です。TdPは、心拍数が非常に速くなり、心室が痙攣するような状態です。
治療
QT延長症候群の治療法は、原因によって異なります。
1. 遺伝性の場合
- β遮断薬などの薬物療法
- 植え込み型除細動器(ICD)の装着
2. 後天性の場合
- 原因となる薬剤の中止
- 電解質異常の是正
- 基礎疾患の治療
生活上の注意点
QT延長症候群患者は、以下のような生活上の注意が必要です。
- 激しい運動を避ける
- 水泳やマラソンなどの長時間の運動は控える
- 暑い環境での作業を避ける
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを溜めない
まとめ
QT延長症候群は、心臓の電気信号伝達に異常をきたす疾患です。無症状で経過することもありますが、TdPと呼ばれる心室頻拍は、突然死のリスクを高めるため注意が必要です。治療法は、原因によって異なりますが、薬物療法やICDの装着などが有効です。患者は、激しい運動を避けるなど、生活上の注意も必要です。
情報源
- QT延長症候群 - 難病情報センター: https://www.nanbyou.or.jp/entry/3170
- QT延長症候群 - 慶應義塾大学病院 KOMPAS: https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000625.html
- QT延長症候群 - MSDマニュアル家庭版: https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/06-%E5%BF%83%E8%87%93%E3%81%A8%E8%A1%80%E7%AE%A1%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E4%B8%8D%E6%95%B4%E8%84%88/qt%E5%BB%B6%E9%95%B7%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4